2021年 兵庫県建築士会 講演会 百田氏 聴講

2021年4月24日 建築士会 百田さん講演会

 兵庫県建築士会青年部主催の 建築家講演会の聴講をしてまいりました。
大西麻貴+百田有希の 百田さんの講演会でした。
大西麻紀さんは、病気のため欠席です。
百田さんは、神戸長田高校をでて、京都大学建築学科にすすまれてから、伊東豊雄事務所に勤められての、大西さんとの独立という経歴をもった優秀なかたです。

実作を通した講演会でしたが、とても興味深い内容でしたので、共有したいと思います。

以下内容

① いくつかの経路を建築の中につくることで多様な経験が生まれるのではないだろうか。

螺旋階段を描いた住宅の紹介等 経路を重要視した設計をしておられました。
初期の作品ですが、屋外階段を部屋の周囲に張り巡らせて、面白い建築になっていました。会津のさざえ堂を筆者は思いだしました。行き止まりのない回遊性のある建築というのは魅力的に感じるものです。

② God job センター

障害者のための就労支援施設。

運営側のクライアントの意向は、障害者であっても、通常の人となんら違うことない施設を設計してほしい。コンセプトは、違いを認め違いを大切にする。人を管理するような施設でない就労支援施設としたい。

その中で、考えたコンセプトは、自分と違う人が同じ空間にいても居心地の良い空間を設計できないだろうか。具体的には、各室の壁は千鳥に配置されて、吹き抜けを介して各部屋がつながり、立体的なワンルームの建築になっています。隔てることとつながることを一体的に考えることで、幾何学のルールから居場所をつくるルールへと設計の指針を紡ぎだす。外に発信するスペースと家のように落ち着いた空間を大切に考えました。

←筆者の個人的な意見としては、千鳥壁が様々な居場所を作っていて面白かったですが、構造的な部分で苦労が多く存在したのではないかということです。解説をきいていましたら、接合部で金物をうまく使われて、その問題を解決されていました。

この段階では、部分的なところをよりどころに設計を考えて、機能的に室を配置し、それをおおらかな空間に仕上げることには成功したが、外観への検討は、ご自身でも、まだ未完成のものではないかと思っているとのことでした。

③ 滋賀県 多賀町 公民館


町の8割の土地が山林である状況で、まったく木材が使用されない状態でした。その土地の木材を使用しての公民館の設計ですが、延床面積が2600m2も存在しており、とても大きい施設です。山から木材を切り出すため、実施設計の期間までに1年間を必要としました。そこで十分時間が存在していたこともあり、地元の人たちからじっくりと話を聞いて、ワークショップを行いその意見を取り入れていく設計としました。メインエントランス入ったすぐ隣に調理室を存在させたり、大きなホールは、イベントごとに可動間仕切りで、室を分割して利用したりできるようにしました。オープニングは、とても沢山の人に来ていただき、これからも愛される施設となってくれればと思いますとのことでした。

 国産材を利用していますが、今後の展開と実際に木材を大量に利用した施設とはどのように思いますかと筆者は、百田さんにしました。回答としては、山から木を切り出す経路が狭いため、4mの木材しか切り出せない状況になったため、その木材を使用したできるフレーム(3.6×10.8m)のものを考えました。そのフレームによってこの施設は設計されています。木材の今後の展開としては、どこで作られたかわからないアルミサッシが大量にあるよりも、地元の山でとれた材を使った建物ののほうが愛着がわきやすいのでそのような方法でこれからも建物を設計してく方法を検討したいとのことでした。個人的には、国産材が使われない現状というのは、カナダ産の杉や、松に対して、国産材が質も価格でも勝てないために、存在しているのですが、そのあたりの洞察を聞きたかったですが、それは、また日本の国の今後の課題ということになるかと思います。

その他 熊本の震災ミュージアムの基本設計の状況とか伊東豊雄の初期の住宅作品のリノベーションとかですが、周囲の関係性を考えて設計することを意識し始め、風景にとけこみ、風景をさらに良いものにする建物を考えて設計しておられました。

その後質問コーナーでは、どのような設計プロセスをしていますかという質問が多かったです。当初は、部分から考えて、機能的な部分を重視して設計していますが、最近は、部分と機能と外観のバランスがとれた設計ができるようになってきましたのとの回答でした。筆者は、本日大西さんは来られていませんが、共同設計することの面白みとはどのようなものでしょうかと質問しました。百田さんは、伊東豊雄事務所で実務経験を経て仕事をしているが、大西さんは実務経験なしに 設計を行い、共同で設計することに、当初は、戸惑いも感じていました。しかしながら、大西さんは、針の一点をつくようなアイデアを提示してき、それが、大きな原動力となって、建築が出来上がることもあり、そのバランスを楽しめるようになってきましたとの回答です。(個人的にその回答はとても面白かったです。)その他、大西さん以外にも伊東事務所のOBと仕事をする機会もありますが、皆さんの個性がぶつかり合うため、まずは、言葉とスケッチにて共有して持つイメージを前面に提示して、そこを確かなものにします。で、残った部分で自分の考えた設計をしていくスタイルをとっています。

とのことでした。

実直で、客観性をもちながらも建築に真摯に取り組んでおられる姿も好印象で、大変興味深い話となりました。話もすごくわかりやすかったです。

百田さん、ありがとうございました。

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